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ライトノベルを中心に活動中の作家、空埜一樹のブログです

曖昧ゲームコラム9:ポポロクロイス物語

ポポロクロイス物語

発売日時:1996年7月12日
発売元:ソニー・コンピュータ・エンタテイメント
対応機種:プレイステーション

思えばぼくの青春時代は、そのままテレビゲームの進化の軌跡と呼べるのかもしれない。
8bitのファミコンから始まり、スーパーファミコンPCエンジンネオジオから3DOなど、実に様々なハード(機種)が各メーカーから発売された。
どれもが独自性のある機能を持ち、それをフルに活かしたソフトを出していたものだ。
しかしそんな中で、ある時、テレビゲームの転期とも呼べる瞬間が訪れた。
SONYからプレイステーションが、セガからセガサターンが発売されたのだ。
当時、プレイステーション(以下プレステ)とセガサターン(以下サターン)、それに任天堂から出たニンテンドー64(以下ロクヨン)という三つの新時代を象徴するようなハード、「次世代機」が三つ巴になってバトルを繰り広げていた。
人々はプレステ派、サターン派、ロクヨン派という陣営に分かれ、一度相手が敵ハードを愛するものだと分かると、苛烈なストリートファイトが繰り広げられ、敗者は首から「私は敗北ハード主義者です」と書かれた木札を下げられた。(フィクションです)
その時、中学生だったぼくは、何かとてつもない時代が訪れようとしていることを、ひしひしと感じていたのである。

そして来たる誕生日、ぼくは両親に頼んで、次世代機の一つを手に入れることに成功した。
選んだのは、プレイステーションだ。
大きな理由としては、話題の大作「ファイナルファンタジーⅦ」がプレステで出ると聞いていたからである。
ただし、FFⅦはその時、まだ発売していなかった。
なので、ハードと一緒に選ぶソフトは別のものにしなければならなかった。
前にも書いたが、新ハードと共に初めに購入するソフトは非常に重要である。
これを「ファースト・チョイス・ニュー・ゲーム・ソフト」、略してFCNGSと呼ぼうと思ったが、無茶苦茶ゴロが悪くて覚えづらいこと火の如しなので、やめておくことにする。
ともあれ幾つか出ていたソフトの中で、ぼくは初め「アークザラッド」というシュミレーションRPGを買ってもらおうとしていた。
が、目論見が外れてアークはしばらく後の発売だったと判明し、急遽、他のものを選ばなくてはならなくなる。
あまり残されてはいない時間の中で、焦り気味にショーケースの中を覗いていたぼくは、あるものを発見した。
それは、他のソフトのパッケージとは違い、まるで絵本のような優しいイラストの描かれたものだ。
中学生ともなれば格好つけたくなる年頃、額の邪眼が疼いたり、腕に包帯を巻いて突然苦しんだり、筆箱に小さいヒロインが隠れている設定で話しかけたりするもの。
多分に漏れずぼくもあらゆる物事を斜に構えて見る「第一次この世でぼくだけが世界の虚しさを知っている症候群」になっており、本来であれば、そういったゲームは子供のやるものだと手に取らなかったはずだった。
それなのになぜか強烈に惹かれるものを感じ、ほとんど抵抗なくそのソフトを選んでいた。
長くなったが、それが「ポポロクロイス物語」だ。

ポポロクロイス物語は、元々、漫画として連載されていたが、後にプレステ用のゲームとしても製作された。
トーリーは、主人公であるピエトロ王子がガミガミ魔王を倒しに旅に出るところから始まる。
いわゆるオーソドックスな「勇者魔王もの」のフォーマットに則っているわけだが、ポポロはそこからが違う。
ガミガミ魔王退治なんて、この大きな物語のほんの一部に過ぎない。
そこを皮切りに、次々と思っても見ない展開が待ち受け、ピエトロは多くの厳しい試練へと立ち向かうことになるのだ。
そのほのぼのとした世界観とは裏腹にハードなシナリオと、厳しいテーマ。
それに錆びると動かなくなるロボット疑惑の白騎士(後に結婚して子供が生まれる所を見ると生き物だったのだろうか)や、可憐な魔女ナルシアなど、個性的なキャラクターと相まって、ぼくは見事にどハマりした。
ぼくの誕生日は8月の終わり頃なのだが、残された夏休みの時間を全てポポロの攻略に注いだほどである。

また、ポポロクロイスは、ストーリーや演出だけが優れているわけではない。
フィールドからそのまま戦闘へと移る「シームレスバトル」も斬新だったが、随所に美麗なアニメが挿入されるのもまた魅力的だった。
そう。ぼくはプレステをやって衝撃を受けたのである。
ゲーム内のキャラが声を発するのもそうだが、アニメーションが流れるなんて、まさに新時代の幕開けとしか思えなかった。
10代くらいの人には分かりにくいかもしれないが、当時のプレイヤーにとってそれは、人類が月に行ったのと同じくらいの驚きに満ちていた。(はずである)

正直、スーファミですら完璧に近いと思っていただけに、プレステで更にその先へ行くのかと、ゲームの果てない可能性を見た瞬間である。

あの感動は、ポポロクロイスという優れた作品を、より忘れられないものへとしてくれた。
今となっては中々味わうことのできない、ワクワクとした日々の到来を感じさせてくれるソフトだった。

終わり

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