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ライトノベルを中心に活動中の作家、空埜一樹のブログです

ゲーム備忘録:モンスターハンター ストーリーズ2 ~破滅の翼~

どうも、空埜一樹です。

【新シリーズ】伝説の魔導王、千年後の世界で新入生になる 1 | HJ文庫公式Webサイト

こういうの書いてるラノベ作家です。

今回のゲーム備忘録は「モンスターハンターストーリーズ2 破滅の翼」。
カプコンさんからニンテンドースイッチ用のソフトとして発売中です。

www.capcom.co.jp

ベースとなっているゲームは「モンスターハンター」。
世界的に人気のあるビッグタイトルなので説明不要だと思います。知らない人はググってね。
本作はモンスターハンター、略してモンハンの世界観を基に新しく構築されたRPG
主人公はハンター、ではなくモンスターと心を通わせて絆を結び共に戦う「ライダー」と呼ばれる人。
彼は世界を滅ぼす『破滅の翼』をもつというリオレウスを目覚めさせたことにより、数奇な運命に巻き込まれていきます。

……という概要を書いたところで最初に言っておきますが、すみません。

このゲーム、プレイする前は、完全に嘗めてました。

前作が3DSで発売していたことは知っていたんですが、

「モンハンの人気にかこつけた安易なスピンオフ作品だろ? やれやれ。ぼくほど熟練のゲーマーともなるといささかも興味は惹かれませんなぁ。ドゥフフフフ」

とか気持ち悪い笑いをしながら侮ってたんです。
が、2が発売されると知って、1もそれなりに売れたのかなとレビューをチェックしたところ、予想以上に評価が高い。
「え、そんなに面白いの? やりこみもあって? まじで?」

と驚き、じゃあやってみようかとあまりに簡単にちゃぶ台をひっくり返したというわけです。自分の評価に自信のないオタクですまんな。
で、実際にプレイしたところ、作品を創られた方々へ全力で土下座する羽目になったと。まあ、こういう結果となりました。
滅茶苦茶面白かったです。上っ面だけで判断しててほんとに申し訳ない。
何事も実際に触れてないと分からないものですね。
というわけで感想です。

 

・シナリオ

 

王道路線の成長と絆の物語。
と書くと分かりやすいけど深みはないのかなと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
王道がなぜ王道と呼ばれるかと言えば、それはつまるところ「もっとも人に好まれる物語」だからなのです。
つまりしっかりとした構成を組み、手順を違えず盛り上げるところをきちんと盛り上げれば、なによりも熱いストーリーになる。
しかし、だからこそ少しでも間違えれば陳腐な物語と堕落してしまう可能性をはらんでいるわけですが、本作はそんなこともなくどこまでも真っ直ぐ面白く仕上がっています。
久々に衒いのない少年漫画的シナリオを体験できたな、と思いました。

余談ですが物語冒頭で仲間になってくれる主人公の先輩ライダーであるキャラが、大変に健康的で露出の大胆なお姉さんだったので、
「後輩として指導していくうち主人公に特別な感情を抱き性に未熟な彼を年上の魅力で導きモンスターだけでなく自分も乗りこなしてみなさいと誘惑して本筋とは違ったストーリーズを」とか梅雨の時期に常温で放っておいた牛肉並の終わった脳味噌で考えてしまいましたが、本当に余談なのでここは読み飛ばしていいです。

 

・システム

 

基本はコマンド式RPG。
最近はRPGでもアクション性を要求されたりして、コマンド式はまどるっこしいなんて意見も見かけますが、個人的には大好きなので何の問題もありません。
確かに速攻性のあるバトルシステムもそれはそれで爽快ですし時間もかかりませんが、じっくり考えながら戦略を練るやり方もそれはそれで味があります。
というよりアクション重視のRPGばかりやってきたので逆に新鮮でした。もっと増えるといいのにな。コマンド式RPG。

パーティは主人公とオトモンと呼ばれる仲間モンスターのコンビ+旅の道中で加わったゲストという感じ。
で、ここが本作のバトルシステムにおける最大の特徴であると言えるのですが、戦いは全て「相性」によって決まります。
ゲーム内において敵味方問わず攻撃は「パワー・スピード・テクニック」という三つの属性に分かれています。
加えてそれらには相性が存在し、「パワーはテクニックに勝ちテクニックはスピードに勝ちスピードはパワーに勝つ」という三すくみのような状態になっています。

ジャンケンと同じだと考えれば分かりやすいかも。
どれだけ相手より強くても、相性で負ければ受けるダメージは高く与えるダメージは低くなってしまいます。
なので、まず敵が「どんな属性でくるか?」を予想しつつ戦うことになります。

雑魚戦含めこの構図なので、いちいち考えるのが面倒だと言えば面倒なのですが、慣れると「こいつはいかにもパワー系だからスピードでいくか……いやテクニックなのかよ!?」などという予想を覆される展開があったりと割に楽しい。
特にボス戦などは一つ間違えばダメージがまるで違ってくるため、独特とした緊張が走ったりして、他に無いエンターテイメント性がありました。

とは言えずっと繰り返しではさすがにやってられねーとなってくるんですが、その辺りも新設設計で、主人公パーティと敵のレベル差が一定以上あると、一瞬で決着がつくボタンも用意されています。
ぼくは最初の時点でなるべく多くの敵を倒してレベルを上げておいたので、中盤辺りからほぼ一回戦えば後はボタン一つで楽々勝利みたいなのが続いて、そこまでダルくはなりませんでした。(どれだけレベル差があっても初めて会う敵は即時討伐は出来ない)

 

・装備関係

 

この辺りはモンハンを踏襲していて「モンスターを倒す→素材を得る→それを元に装備を造る」という過程で造っていきます。
店売りのはイマイチというか一回も買わなかったレベルなので、装備はモンスター討伐で貰うという風に思っていた方がいいですね。
とは言え、前述したようにレベル差があると戦闘は一瞬で終わらせることが出来るので、素材集めもそれほど億劫ではありません。
あまりに楽過ぎて本家でもこのシステムを導入して欲しいと本気で思いました。
宝玉を集める為に終わらない悪夢のようにネルギガンテを倒し続ける必要はない。(トラウマ)

 

オトモン

 

もう一つ、本作の特徴と言えるのがオトモン、主人公と一緒に戦ってくれるモンスターについて。
作中で散々「オトモンとの絆が」「結ばれた友情が」などという台詞が出てくるので、たとえば女神転生のようにモンスターと交渉をして仲間にするみたいな感じかと思っていたのですが、全く違っていました。

 

まずモンスターの巣に忍び込んで卵盗みます。

 

次に盗んだ卵を孵してお供にして一緒に冒険します。

 

以上です。

作中何度も「絆とは」と深淵を覗き込むような気持ちになったのですが、それを言ったらポケモンだって散々ボコボコにした後でボールによって一方的に捕獲した相手を「おれ達は友達」といった体で連れて歩いているんですから、細かいこと言ったらキリありません。
あのボールには洗脳システムが組み込まれていて捕獲された時点で記憶の操作を……とかも一瞬考えてしまいますが、それ以上はやめておいた方がいい。何か偉くて大きなものが動く。

というわけで親から盗んだ子供を仲間にして一緒に冒険するという、
物語によっては後編で明らかになってキャラ同士に埋めようのない確執を生んでしまうような背景を持つシステムからは目を逸らしつつ、
オトモンにはそれぞれ遺伝子と呼ばれるものが備わっています。
ステータスとは別の特性、と言えばいいのでしょうか。回復遺伝子とか、毒攻撃遺伝子とか、そういうものですね。
これを「継承の義」と呼ばれるシステムによって、選んだモンスターに受け継がせていきます。
これがまた奥深くて、弱いモンスターでも持ってる遺伝子は強かったりするので、ある程度育てておいてそれを本枠のモンスターに継承させて……というように強化の可能性が無限に広がります。
ぼくはある程度のところでやめておきましたが、まじで極めようと思ったらそれこそ半年かそこらは遊んでいられるレベルかと。

モンスター同士はオンラインで対戦等出来るっぽいので(やってはいません)、そっち方面にのめりこむと、一本のソフトで長くプレイ出来る、良いゲームだなと思いました。
ちなみにぼくがオンラインで対戦していないのは単にネットが恐いからです。すぐ煽られたりするから。
MMOでも誰ともパーティを組まずソロでレベルカンストしてフィールドをうろついて危なそうな人を見かけたら横入りして助けて去っていくという、流浪人みたいな生活を送ってました。拙者は甘っちょろい戯言のほうが好きでござるよ。

 

・総論

 

全体を通して非常に出来の良い作品で最後まで楽しめました。
ただ気になるところがなかったかと言われると、そういうわけでもなく。
たとえばフィールドが広い割に移動スピードが遅いので、目的地へ行くまでにどうしても「無」になる時間が存在してしまうとか。
オトモンの卵を孵す時、一匹ずつ画面に表示されるので一気に画面に表示して欲しいなと思ってしまうとか。
まあそういうところはあるんですが、「このゲームやだー!!」となるほどではなかったです。

モンハンが嫌いでなく、コマンド式RPGがやりたいなと思った方には是非ともお薦めしたい一品でした。