空ノページ

ライトノベルを中心に活動中の作家、空埜一樹のブログです

曖昧ゲームコラム1:わんぱくダック夢冒険

わんぱくダック夢冒険

発売日時:1990年1月26日
発売元:カプコン
対応機種:ファミリーコンピュータ

ここは宣伝主体のブログである。

が、一応文章で飯を食ってる人間として、あまりにもそれのみというのはどうだろう……なんてことを考えて、何かを書こうと思い立った。
とは言え「では何を題材にするか?」というとこれまた難しい。
ぼくはあらゆる創作物が好きだ。
映画や漫画はもちろんだけど、中でも幼い頃からテレビゲームと呼ばれるものが大好きだった。
よって、自分にとって一番身近であるゲームについて語っていこうと思う。
ただレビューという形ではっきりと特定の作品を批評をしてしまうのは、自分もそういう商売をしている為にいささか抵抗があった。
そこで、己自身の思い出やその当時の想いを絡めて書いてみることにする。
つまりこれはレビューではない。単なるぼくの今までにおける人生の中で、それがどんな位置にあったかということだけのものだ。
どちらかと言うと、エッセイやコラムに近い。
このブログを見て下さっている貴重な方々にも、そのつもりで読んで頂けるとありがたい。
また、一応は週に一回くらいの頻度で更新したいけど、仕事が詰まっているだとか、新作ゲームが面白いだとか、単純に面倒だという理由で二週に一回だったり、月に一度くらいになったりするかもしれない。
そこはゆるゆるとした感じであることを、あらかじめご了承願えれば幸い。
前置きが長くなった。
そろそろ始めようと思う。

記念すべき第一回のテーマだが、やはりこのゲームソフトにするべきだろう。
「わんぱくダック夢冒険」
タイトルを聞いて恐らくは多くの人が「????」と頭の中を疑問符で埋め尽くしていることだと思う。
もしも「あー! 知ってる知ってる!!」と頷く人がいればそれはかなりのレア種だ。ドラクエで言えばはぐれメタルキングだろう。異論は認める。
どうでもいいけどはぐれてるスライムなのにキングってそいつ無茶苦茶かわいそうな人なんじゃないかと思ったが、そんなことは関係ない。今はわんぱくなダックが夢冒険をする話だ。
しかし、わんぱくなダックが夢冒険するって、タイトルだけ読むと「それはまさか違法ドラッ……」まできて「それ以上いけない」となってしまいそうだけど、別にそんな危険なゲームじゃない。
星の数ほどあるテレビゲームの中でも、既存のキャラクターを使った作品がいくつかある。
俗に「キャラゲー」と呼ばれるものだ。
これもその一つで、世界的に知られるあのディズニーに出てくるドナルドダック…………の甥であるヒューイデューイルーイ…………と一緒に暮らしているドナルドの叔父であるスクルージおじさんを主人公にしたアクションゲームだ。
もはや「パリのエッフェル塔に似せて作られた大阪の通天閣に似せて作られた近所の建物」というぐらいの「どんだけ遠いんだ」感があるが、スクルージおじさんはスクルージおじさんで結構有名で、彼を主人公にした長編アニメも何本かある。
とは言え「なぜドナルドではなく遠い親戚をわざわざアクションゲームの主人公にしたんだ?」と訊かれれば「知らないよ。じゃあ逆に訊くけどお前は世界の全てを知ってんのかよ?!」と逆ギレをするぐらいの気構えでいるぐらいに、ぼくも詳しくは知らない。
言い忘れていたがこの記事は全てそういう曖昧な感じで進行していく。
必要ならある程度は調べるが知らないものは知らないし、内容に誤りがあっても大きな問題がない限りは訂正しない。全部が全部、うろ覚えで構成されているということを踏まえて頂けるとありがたい。
さて、話を戻す。
この「わんぱくダック夢冒険」は何を隠そう、ぼくが生まれて初めてプレイしたゲームである。
小学一年生の頃だったか。
小学校に入学してばかりでろくに友達もいなかったウルトラさびしんぼハイパーぼっちだったぼくを心配した今は亡き祖母が、何かのきっかけになればとファミコンを買ってくれたのだ。
はっきりと覚えているが祖母はぼくにある日こう言った。
「ピコピコ買ってやろうか?」
ピコピコ。良い響きだ。昔の人はどんなハードであっても全てのゲームはピコピコだった。だってピコピコするもの。
正確に言えばファミコンの音はギュイガシャーンゴゴゴピュンピュンティラリラララみたいな感じだと思うが、いきなり祖母がそんなことを言ったら内部コンピュータが誤作動を起こしたのかと不安になるので、ピコピコでいいんである。
喜んだぼくはすぐに玩具屋に行ってファミコン、正式名称ファミリーコンピュータを買ってもらった。
そして同時に購入してと頼んだのが件の「わんぱくダック夢冒険」だったのだ。
最初に言っておくがぼくはアニメを観ていたのでスクルージおじさんの存在は知っていたが、特別に好きだったというわけでもない。とは言え嫌いというわけでもない。
食べ物でいうなら「かぼちゃの煮物」くらいの位置だった。
なのになんでステーキやら寿司やらケーキやらが並んでいるショップの中で、あえてかぼちゃの煮物的なキャラが主人公のゲームを選んでしまったのかと言えば、これが全く記憶にない。
当時(今もかもしれないが)の子どもにとって「ゲームハードと一緒に買う最初のソフト」は相当に大切なものだった。
何故ならしばらくそれ以外のソフトは買ってもらえないからだ。どんなものでも、例えクソゲ……感性に合わないソフトであっても、強制的にプレイし続けなくてはならなかった。故に慎重にならざるを得なかったのである。
なのにわんぱくダック夢冒険だ。
タイムマシンがあるならその時に戻って「なんで?」と自分に問い質したい。ついでに「お前、初めて出来た友達の家へ遊びに行った帰りにおしっこ漏らすレベルで迷子になって最終的に『この街で暮らそう』と決心することになるから、気をつけろ」と言いたい。
ともあれ理由は不明だがぼくはファミコンとソフトを買ってもらってワクワク気分で家に帰った。
が、結論から言うとわんぱくダックの夢冒険はクリアしていない。
理由は一つだ。
超絶難しかったからである。
詳細に記憶しているわけではないが、体としてはオーソドックスな横スクロール型アクションゲームだったと思う。
スクルージおじさんはお金持ちだが冒険野郎でもあるので、財宝を求めて世界中の遺跡に潜り込んだりする。
このゲームもそんなノリで進んで行ったはずだ。
ただ、プレイキャラであるスクルージおじさんのジャンプ方法が、ホッピングなのである。
ホッピング、若い人は知っているだろうか。昔、大ブームになった玩具だ。
表現するのがやや難しいが、十字架の横棒がかなり上の方についていて、下の方に左右の足を乗せる場所があるような感じになっている。
つまりは、取っ手に掴まって人が乗れるようになっているのだ。
で、ここからが重要なのだが、乗った人を支えるべき最下層部分がバネ式になっているのである。
早い話が、足を乗せてピョンピョン飛ぶように作られている棒、というわけだ。まだよく分からないという人はググって下さい。
あんまりやると胃下垂になると噂になった。本当かどうかは知らない。
スクルージおじさんはそのホッピングで跳躍して敵を潰す。
正確にはホッピングそのものでは無く杖だった気もするが、全体重を乗せても折れない上に異常なまでの伸縮性と跳躍力をもつ杖というのも、どんな素材なのかはなはだ気になるところだ。ほとんど兵器だろ。
おまけにその杖で頭からやられた日には、敵もモザイクレベルで損壊して悲惨な状況になっているはずで、当時は普通プレイしていたが、今思うと正気の沙汰じゃない。気にしたらあかんやつ。
で、そのホッピングジャンプというのが割と間とか距離感を掴むのが難しくて、普通のアクションゲームですらちょっと苦手なぼくは、上手く扱うことが出来なかった。
結局、ラスボスどころか全ステージの半分ぐらいしか行けないままでプレイは頓挫し、別のソフトに移っていった覚えがある。

ただこうして二十数年経っても覚えていると言うことは、強烈な印象を与えてくれたことは間違いないだろう。
わんぱくダック夢冒険、アメリカではリメイクされて現行機でプレイ出来るようになっているとのことで、ぜひとも日本語版でも出して欲しい。
あるいはバーチャルコンソールでの復刻を願う。
その時こそ、ピョンピョン跳んでるおじさんを見事に操り、雪辱を果たしたいものだ。

終わり

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