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ライトノベルを中心に活動中の作家、空埜一樹のブログです

曖昧ゲームコラム5:ロックマン3

ロックマン3 ワイリーの最期⁉︎

発売日時:1990年9月28日
発売元:カプコン
対応機種:ファミリーコンピュータ

 

当たり前の話だがゲームとは自らの手で道を切り開いていくものである。
己の感覚を総動員してコントローラーを操り、謎や敵を少しずつ攻略していく。
どうしても無理な時は人に頼るが、それとてやはり誰かの手によって先に進むことには違いない。
だがどんなものにも抜け道はある。
時に思いもよらぬやり方で未知のものが味方し、活路を見出すことが出来るようになるのだ。
まるで神の気まぐれであるように。

わざわざ大げさな前振りをしたが、中身自体が大したことないので、関係ない場所で盛り上げるだけ盛り上げただけの話である。


ロックマンは戦闘用に改造されたロボットであるロックマンが、Dr.ワイリー率いる悪のロボ軍団と戦う横スクロールアクションゲームだ。
このゲームは他の作品にはない二つの要素がある。
一つはボス選択。
あくまでぼくの経験に限った話ではあるが、それまでのアクションゲームは与えられたステージを突き進み、待ち受けるボスを倒して次に進むという形をとっていた。
しかしロックマンの場合はそこから違う。
まず初めに幾つかのステージを自らで選択し挑むのである。
つまりはどのボスから倒していくかはプレイヤーの判断に委ねられているということだ。
それなら何でもいいから一人ずつ攻略していけばいいじゃないかと思うだろうが、それこそが素人のあさはかさだ。関係ないがあさはかさってちょっと間違えるとアカサカサカスみたいな感じになってややこしいと思う。
ロックマンの特徴二つ目として、ボスを倒すと相手の持っている武器をロックマンが使えるようになる点がある。
ロックマンは最初、ロックバスターという何の効果もない基本的な兵器しか持っていない。
腕の先から丸いポップコーンのようなものを射出し攻撃するのだが、いかんせん攻撃力が低く中々敵を倒すことができない。
ポップコーンが最もその攻撃性を発揮するのは映画館の床へ盛大にばらまかれた時だけであり、ロックマンのステージにTOHOシネマズが存在しない限りはその真の力を発揮することはないだろう。
故にロックマンはボスを倒し、武器を取得し、それを利用して他のボスを攻略していくことが鍵になるのだ。
そして、全てのボスには「弱点」となる武器が存在する。
ロックマンはそれを的確に選び攻撃していくことで、ボス戦において優位に立てるのである。
だが何のボスにどの武器が効くのかは、全く分からない。ステージセレクト時点では全くのノーヒントだからだ。
よって「どの敵から倒して行くか」を見極めるのが非常に難しく、ただ無造作にボスを選んでいてはゲームを進められなくなってしまうのである。
ロックマン3をやっていた当時、ぼくはそのことが分からずにバカ面を晒して、ただただ何となくでステージを指定していた。
しかしそれでは一向にクリアできないのは自明の理である。
ただでさえロックマンは難易度が高い。ボスに通じる武器を知っていても、そこまで辿り着けないことが多々あった。
そこにきてろくな装備もなく、また、作戦を立てる頭もなく突っ込むのだから、当然、手詰まりになる。
ロックマンを作ったライト博士だって、「こいつさっきからおんなじ所でばっかりティウンティウン(ロックマン用語で敵にやられること)してるけど、ロボットのくせに学習能力ないのかな。不具合? 仕様ですって言い切る?」などと悪い大人の顔をし始めることだろう。
だがそんなバグだらけで回収待った無しのソラノロックマンにも救いの手は差し伸べられる。
ロックマン3には「無敵モード」になれる技があったのだ。
俗にいう「裏技」である。
生まれて初めてぼくが裏技という禁断の方法を知ったのがロックマン3だった。
ある日友達がやってきて、どうしてもロックマンをクリア出来ないぼくを見かねて教えてくれたのだ。
それはスネークマンというボスのステージ途中でわざと穴に落ちると、本来ならティウンティウンするはずがその現象は起こらず、HPがゼロになった状態で復活できるというものだった。
本当はもっと詳しいやり方があるのだが、ここでは一応、伏せておく。ロックマン3を今やっている子供が良からぬ道に足を逸れないようにという、腐れ切った大人からのせめてもの配慮だ。
これによりソラノロックマンは大進撃を繰り広げた。当然である。どれだけダメージを受けても減るHPがないのだ。ちょっと頭のいい犬でもクリアできる。
しかし同時にぼくは何だか胸にモヤモヤしたものが残るのを感じていた。
それは罪悪感とも呼べるもので、手を出してはいけない領域にどっぷりと浸かってしまったような感覚であったことを覚えている。
友達は友達で「へへっ、やべーだろ」みたいな違法なものに手を出してはまった奴みたいな顔をしていたが、こうなってはいけないという見本みたいなものだなと思った。
無論、裏技自体に問題性があるわけではない。
昔から普通に存在していたものだ。
しかしゲームというものはやはり苦労してクリアするからこそ価値がある。
ある程度の裏技で攻略しやすくするのは構わない。が、さすがに無敵モードはやりすぎであるような気が、その当時のぼくにはしていたんだろう。
実際その後、しばらくしてぼくは自力でロックマン3をクリアした。なんだかスッキリしていたような記憶がある。
何事も、己にとって是が非かを判断して使うのは重要だなと思った次第。
神の力に溺れた者の末路が散々であることは、古人が口を酸っぱくして伝えていることなのだから。

大げさで始まったので大げさで締めたが、別に普通にやりゃよかったなと今、後悔している。

終わり

次回:ドラゴンクエスト天空の花嫁